2016年6月5日日曜日

「重さ」と「質量」

 物理学では、「重さ」と「質量」について考えます。

 日常生活で「質量」という言葉はまず使いません。一方で、「重さ」という言葉は皆さんよく使います。
・ 卵1個の重さは 40 [g]、とか
・ 生まれた子どもの重さは 3200 [g]
などといいますね。実はこれらの使い方は、物理学的には間違っています。

 「重さ」とは、重力の大きさのことで、力の大きさを示すものです。もっと噛み砕いていうと、「地球がものを引きつけている力の大きさ」のことです。力の大きさの単位は、[N] (ニュートンとよみます)です。さらに面倒なことに、ある物体の地球表面での重力の大きさと、同じ物体の太陽表面での大きさは違います。太陽の方が、ものを引きつける力が大きくなるので、重さも大きくなります。

 一方で「質量」とは、そのものの性質のひとつです。この質量は宇宙のどこであっても同じです。物体の性質は、どんな状況であれ変化しないためです。質量の単位は、皆さんがおなじみの [kg] や [g] です。体重計で量った皆さんの体重は、皆さんの「質量」を計測していることになります。

 つまり、日常生活では「重さ」と「質量」が混同されていることになります。なにも日常生活で「重さ」と「質量」をきちんと言い分けなさい、といっているわけではありません。自分が使っている言葉は、物理学的に正しいのだろうか、と心の中で確認することで十分でしょう。

 日常生活で、「卵の質量は 40 [g] でした」などと言ってしまうと、ちょっと(かなり?)浮いてしまいますね。

 さて、体重が 60[kg] の人がいたとします。この人の「重さ」を物理学的に正しく表現するとき、この人の「重さ」はどう表せますか? 重力加速度を 9.8 [m/s^2] とします。答えは、ブログのコメントへどうぞ。

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